社会の中で生きるには、正直な感情だけでは足りない場面があります。
そこで私たちは、知らず知らずのうちに「役割の自分」を育ててきました。
張りぼての自分 ── しっかり見せるために作られた“生きる鎧”
紙粘土の自分だけで、この社会を生き抜くのは簡単ではありません。
刺激は多く、期待は複雑で、
正直な感情だけでは対応しきれない場面も多い。
そこで必要になったのが、張りぼての自分です。
張りぼてと聞くと、
「偽物」「無理している自分」
といった印象を持つかもしれません。
ですが、この張りぼては敵ではありません。
むしろ、あなたがこれまで環境に適応し、
「しっかりした自分」を社会に見せるために作り上げてきた大切な装備、鎧、着ぐるみです。
張りぼての自分が働く場面には、こんなものがあります。
・人前で平気な顔をする
・弱音を飲み込み、役割を優先する
・頼ろうとすると罪悪感が湧く
・人の相談には冷静に乗れるのに、自分の話になると閉じてしまう
これは「嘘をついている」のではなく、
期待に応えるためにつくられた役割の自分です。
張りぼては、社会生活において欠かせない力です。
これがなければ、私たちは外の世界とつながれません。
ただし、張りぼてが厚くなりすぎると、
中の紙粘土が息苦しくなります。
守るためにつくったはずの殻が、
いつの間にか「自分を感じにくくする壁」へと変わってしまう。
それが、空虚感や手応えのなさにつながります。
張りぼては、あなたを守ってきました。
問題は、それが悪いことではなく、厚くなりすぎたときに起きることです。
次は、この二つを静かに見守る存在に目を向けます。

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