第11回:紙粘土の経験

今回は「本当の自分」の成長を見てみます


紙粘土が厚みと色を帯びていく過程

幼少期の経験は、どれも“紙粘土を成長させる材料”です。
特別な出来事である必要はありません。

むしろ、繰り返されるごく小さな日常の積み重ねが、
紙粘土の質感を決めていきます。

寝返りができた。
ハイハイが進んだ。
つかまり立ちで拍手された。
名前を呼ばれて振り向いた。
親や周囲の人の喜ぶ声が響いた。

その瞬間瞬間は、紙粘土に少しずつ材料が足され、
強まったり、弾力が増したり、
あるいは少し敏感になったりしながら、形を整えていきます。

成功体験は、手触りの良い明るい色として混ざり、
失敗体験は、ややくすんだ色として影を落とすこともあります。
けれど、どちらも等しく“本当の自分の質感”をつくる要素です。

転んだこと。
泣いたこと。
思い通りにできなかったこと。

幼少期では、それらの失敗すら、
紙粘土をよりしなやかにする大事な養分になります。

むしろ、うまくいかなかった経験を通ってきた子ほど、
紙粘土は割れにくく、
のちの人生で何度でも形を変えられる柔軟さを手にします。
ここで育つのは「折れない強さ」ではなく、
「戻ってこられる強さ」です。


次回は「殻・鎧・着ぐるみ」にフォーカスします。

コメント